カテゴリホビー、カルチャー美術品絵画日本画花鳥、鳥獣状態やや傷や汚れあり（詳細）
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【室町古画】雪舟等楊「馬之図」肉筆 紙本 着色 掛軸◆古裂金襴三段表装 修復痕有 時代保証 印譜落款比較等詳細画像有◆y622

【本作品について】

１．特別出品の本作品は、水墨画の聖人・雪舟等楊が着色で描かれし「馬之図」です。筆致筆法はむろんのこと、時代保証の伝来品としての出品ですが、印影は印譜集に一致、落款筆跡も一致しておりました。江戸期の見事な古裂での金襴三段表具にして、明治期頃の再表装で修復の補修痕が認められます。

２．本図は、雪舟特有の水墨で優しく簡略に描いた馬図と異なり、力強い野生馬を着色で描かれしことなれば、雪舟が北宋・李唐の「牧牛図（《人偏に方》李唐）」を模写或いは寫意の前例（掲出比較画像参照）に並ぶ、雪舟筆による唐画の模写or寫意作品と見立てます（筆者所見）。

３．雪舟の手本がやはり李唐であるならば、現存する李唐の馬図は、メトロポリタン美術館所蔵の傳李唐「晉文公復国」図卷の飼馬図での比較の実となる（掲出比較画像参照）。荒々しい野生馬とおとなしい飼馬とでは描写に差異が生ずるものの、馬の唇を強調のフォルム描写は見事に一致していること特記せねばなるまい。

４．右３でも充分だが、念のため国内に保存される雪舟筆の李唐並みの描き込みがある馬図を探査したところ、山口県龍蔵寺所蔵の有形文化財に伝雪舟筆「繋馬図絵馬」があり、飼馬とはいえ力強い黒馬で、鬣（たてがみ）から動きのある足、蹄（ひずめ）まで見事に一致のこと（掲出比較画像参照）。

５．而して典型的な唐画を手本にした室町期の筆致筆法で描かれしに加え、墨書落款下に葉雪舟の知られた壺印「等楊」二字朱文方印も捺されしこと。右印影を、吉岡班嶺編著「真偽評価書画鑑定指針」第21巻（昭和４年初版発行）65頁所載「雪舟印譜集」との比較で概ね一致のこと。「概ね」表現に特段の理由あり、すなわち昭和4年発行時の右書は江戸期木版刷り印譜集からの転写ゆえ、木版彫りで印線に僅か違いが生ずるからのこと。而して筆者は右２，３，４、５に加え下記６の落款筆跡比較を含め多面的側面以って比較精査せねばならぬ所以のこと。

６．併して本品墨書「渡唐雪舟筆」落款の筆跡比較も執り行った。幸いなことに日本書画鑑定大辞典第5巻340頁「雪舟等楊落款筆跡資料」に同じ「渡唐雪舟筆」が所載されしこと、筆跡は遜色なくまた字格も寸分違わず一致のこと。なお「渡唐雪舟筆」とは、唐（中国）に渡りし雪舟の意味にて、専（もっぱ）ら本品のように唐画の模写or意寫品に書す落款飾り「渡唐の」であることから、本品の野生馬はやはり上記２の唐画の模写or寫意作品との見立てを裏付けられしこと。

７．右２，３，４，５，６相俟り高い蓋然性を確保しましたが、古画伝来品の定め（約束事）にて「雪舟」落款表記に「雪舟」印章捺す時代保証品と致します。なお時代保証の所以は、本紙に時代が認められるだけでなく、裏から透過光線で見ると、幕末明治期頃に施された傷みの古い修復の痕跡が認められることによります（掲出画像参照）。当時において既に傷みが生じていたからこそ、再表装にあたり折れ癖の補修のため細長の当て紙を随所に貼り修復されております。

８．参考までに、高い蓋然性を以って雪舟作を確定させるには、本紙を僅か切り取りC14年代測定の実施で、室町時代の和紙との比定を得ることを筆者はお奨めします。右には消費税込11万円の支出が伴いますが、本品であれば試す価値があると筆者は思料します。（落札購入者で右年代測定を希望なされる方には、当方研究資料拡充のため右検査結果を情報共有頂けることを希望しつつ、年代測定機関パレオ・ラボ社をご紹介申し上げます。）

６．本品の三段表装に使用の古裂を拝観すれば、上記冒頭１に述べたるとおり、江戸期古裂使用の明治期頃の修復歴・再表装による時代表具です。表装仕様は；

①　天地は、光沢を呈する上質極細の明暗二種の金襴撚糸を密に織り込み、二種類の吉祥花が蔓紋共に優雅に踊る美麗な裂地です。
②　中廻しは、手織りは濃藍（こいあい）色地に、薄縹色（うすはなだいろ）と丁子色（ちょうじいろ）の色替えで孔雀羽紋が多数揺らめく中に八菱＆四菱組合紋で埋め尽くされております。ランダムな手織りの貴重な古裂のこと、拡大画像でよく判りましょう。筆者初見の得難い優雅で華麗な古裂です。
③　一文字と風袋は、琥珀黄土色（こはくおうど）色地に、黄金色（こがねいろ）の細い平金糸をこれは珍しい（本来は横刺繍が多い中）縦刺にてダリア風の吉祥花が煌めいて浮かび上がっており見事です。
④　軸先は、上質な黒朱金塗で、黒の地塗りの上に朱塗りで黒を浮き立たせ、円周部の渦巻紋様と先端の花葉吉祥紋の陰刻部分には、渋金塗りの三色仕上げの優雅な設えです。（掲出画像参照）。

７．コンデイションは、ヤケ、シミ、微ハゲのほか、再表装時の古い修復痕がございますが、折れは全くなく風雪耐え大事に保存されし形跡が窺えますので、時代品としては最優良と判定致します。時代味が顕現されしも表具状態優秀なるを考慮すれば、お披露目では貴重な古裂含め時代美以って展覧映え致します。以上のとおり、筆者推奨の時代名品ですので、どうぞよろしくお願い致します。




【略歴】
雪舟（せっしゅう）
[生]応永27(1420).備中，赤浜　[没]永正3(1506).周防，山口?
室町時代の画僧。備中（岡山県）生まれ。相国寺にはいって春林周藤に師事、等楊と名づけられる。また、同寺で周文に水墨画を学ぶ。のち周防の山口に行き遣明船で入明。帰国後、山口の雲谷庵を生活の本拠として、全国を行脚した。中国および日本の自然に対する深い観照と、宋元水墨画のすぐれた伝統を融合させて、個性豊かな水墨画を完成。代表作「山水長巻」「破墨山水図」「天橋立図」など。そのほか、道釈人物・花鳥画もある。応永二七～永正三年（一四二〇‐一五〇六）



【内容】

肉筆 紙本 掛軸
全体：124 x 29.6 ㎝ / 本紙：17.8 x 15.3 ㎝


【状態】

ヤケ シミ イタミ
※くれぐれも画像にて詳細をご確認頂き
　ご納得された上でご入札頂きますよう宜しくお願い申し上げます



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上記および「真作」と明記していないものは真贋について当方では不明＝
最終判定保留の作品ですので全て模写といたします。


商品タイトルや商品説明に【真作】と明記のある作品につきまして
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